富山県高岡市の“伏木地区”、今話題の「万葉集」の代表的な歌人で編者ともされる大伴家持が国守として赴任した歴史のある場所です。
伏木は港町としての歴史もあり、18世紀ごろから“北前船”の寄港地として栄えていったそうです。その北前船について学べる『伏木北前船資料館』に行ってみました。富山県の昆布消費が多いこと、医薬品生産が多いこともこの北前船に繋がっているみたいですよ!
1.“北前船”とは?
“北前船”とは、「①江戸時代中期(18世紀中ごろ)〜明治30年代、②大阪と北海道を、日本海周りで、③商品を売り買いしながら結んでいた商船群。北前船はそういう動きをしていた商船を総称する呼び名です。」
(北前船とは | 北前船 KITAMAE 公式サイトhttps://www.kitamae-bune.com/about/main/より引用)
高岡市の伏木や富山市の東岩瀬はこれら北前船によって栄えていったそうです。
伏木は、小矢部川の河口にある港町で、18世紀に入ると、自ら船を所有して交易業を営む船問屋が台頭してきました。『伏木北前船資料館』はその中の一つであった「秋元家」の住宅だったとことにできた資料館です。
2.『伏木北前船資料館』に行ってみた
廻船問屋ということで、敷地が広く、立派な門構えです。
北前船は荷主から運賃をもらって物を運ぶ商売ではなく、寄港地で物を仕入れて船に積み、遠方地で売って、その価格差で儲けるという商売だったそうです。
リスクも大きいですが、リターンも大きく、相当、稼いだようです!
係の方が熱心に北前船の発展から衰退までのことを教えてくれました。
北前船が北海道で買い付けた昆布が大阪、薩摩(鹿児島)、琉球(沖縄)を経て中国に薬の材料として渡っていったそうです。その流れの中で、北前船が寄港する富山で昆布を使った料理が広がっていったそうです。
また、中国へ昆布を輸出し、中国から現地で取れる薬草などを輸入したことで富山で薬売り、製薬業が発達していったそうです。
北前船に関する展示はもちろん、立派な着物や生活用品なども展示してあり、それらから当時の繁栄を感じることができます。
家の奥には3つの蔵が並び、全国各地の廻船問屋の「引札(ひきふだ)」という当時のチラシのようなものが展示されてます。
引札には店名や保有する船の名前、暦(こよみ)などが書かれていて、これが、今でも年末に取引先にカレンダーを配って回るという習慣に繋がっているようです。
また蔵の一つには、港に出入りする船を監視するための監視台、“望楼(ぼうろう)”があり、登ることができます。
狭くて急な階段で、歩くたびにピシッときしむ音がしてスリリングです…。なんだか、秘密の階段を登っているみたいでワクワクもします!
望楼からは伏木の街が広がります。天気がよければ、北アルプスの山並みが綺麗に見えると思います。
「あれっ、海、そんなに見えなくない?」と思うかもしれませんが、昔は海岸線がもっと近かったそうです。街の発展の中で、埋め立てで遠くなり、また、大きな建物も建ったためです。
この資料館、北前船について学べるのはもちろん、「自分で船と商品を抱えるという大きなリスクをとって、大きなリターンを取りに行くなんてすごい…。現代よりも利益に対して貪欲やったんかも」という刺激を受けたり、家の中の鴨居(ふすまの上の部分)が低くて、「昔の人は身長低かったんやなぁ」ってことに気付いたりもできる施設でした。
3.施設の情報
施設名 | 伏木北前船資料館 |
住所 | 〒933-0112 富山県高岡市伏木古国府7-49 (JR氷見線伏木駅から徒歩10分) |
駐車場 | 施設横に数台分あり ※駅から近いので、駅前観光駐車場に停めて、歩いて散策しながら行くのがオススメです。 |
開館時間 | 午前9時〜午後4時30分 |
休館日 | 毎週火曜日(祝日の場合はその翌日) 年末年始(12月29日〜1月30日) |
観覧料 | 一般:210円、小・中学生:無料 |
正直、メジャーな施設ではないので、なかなか行こうとは思わないかもしれません。でも、行ってみると色んな発見があって面白いですよ!
わずか210円の観覧料で楽しめるのは、おトクだなと思いました。みなさんも是非!
【あわせて読みたい】
- 伏木の街ぶらの食事や休憩にオススメ
ランチ・カフェ&ガラス作品『ふしき坂ノ上ヴィレッヂ』(高岡市) - 伏木の気象観測の歴史が学べる
高岡市伏木気象資料館に行ってみた【高岡市伏木地区を街ぶら】