春から秋にかけ、よく耳にする「フェーン現象」。発生すると5月でも気温が30℃を超えたり、夏場であれば40℃近くまで上がったりと、富山に猛暑をもたらします。この「フェーン現象」って一体何なのかを調べてみました。
フェーン現象って
「フェーン現象」とは、山の斜面にあたった風が山を越え、暖かく乾いた風になって下りてくることで、付近の気温が上がる現象のことを言います。
フェーン現象が発生すると、前の日に比べて急激に気温が上がる、同じ日の中でも数時間で気温が急上昇するといったことが発生します。体がついていけずに熱中症になる、また、山を越えて下りてくる風は乾いているので、火災の拡大につながるといった影響も及ぼします。
富山とフェーン現象
富山県(北陸地方)はフェーン現象が発生しやすい地域と言われています。
南側に北アルプスなどの大きな山があることから、南風が吹いた時にフェーン現象が発生しやすいようです。
フェーン現象によって、2018年8月22日には富山の観測史上最高タイの最高気温39.5℃という猛暑になったり、2010年には冬にも関わらず、最高気温が富山の2月の観測史上最高の22.5℃を記録したりということがありました。
たまにニュースなどで、富山の最高気温が全国の上位に入っていることが伝えらることがありますが、そんな時は大抵、このフェーン現象による気温の上昇が影響しているものと思われます。
フェーン現象のしくみ
フェーン現象のしくみを図にしてみました。
このように、もともと25℃だった空気が山を越えて下りてくると30℃まで上昇しているのがフェーン現象です。
順に見てみると、
- 太平洋側から吹いてくる湿った空気(南風)は山地にぶつかり上昇していきます。
- 上昇すると空気の温度が下がっていきます(100m上昇するごとに温度が1℃下がります)。
- さらに空気が上昇し、温度が下がっていくと雲ができます。
- 雲ができると、上昇したときの温度の下がり方が小さくなります(100m上昇するごとに温度が0.5℃下がります)。
空気の中の水分は雨に変わり落ちていくので、抜けていきます。 - 空気が山の上に到達すると、今度は反対側に下降していきます。この空気は水分が抜けて、乾いているので、100m下降するごとに温度が1℃ずつ上がっていきます。
- 結果、もともと25℃だった空気が山を越えて下りてくると30℃まで上昇しています。
これがフェーン現象の仕組みです。
簡単に言うと、「太平洋側から吹いてきた南風が山を上る時の温度の下がり方に比べて、山を越えて富山へ下りる時の温度の上がり方のほうが大きいので、富山の気温が高くなる」といったところでしょうか。
こういった仕組みでフェーン現象が起きることで、富山が猛暑に襲われるというわけです。
特に台風や温帯低気圧などが日本海にある時は、南風が強くなり、フェーン現象が発生しやすいようです。
最後に
これでフェーン現象が何なのかが分かりましたでしょうか?
子供に「フェーン現象って何?」と聞かれたときや、仕事終わりの居酒屋で「今日はフェーン現象で暑かったからビールがうまいな!ところでフェーン現象ってのは…」とうんちくを傾けるのに役立つと幸いです。
これから、徐々に暑くなってくる季節、体調に気をつけて、暑さを乗り越えましょう!
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